新宿2丁目ぼでごん亭ストーリー

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2023年の年末にオープンを迎えることができました、東京都新宿区新宿2丁目のぼでごん亭さん。
歴史ある店舗の移転をatelier comadoにて設計監理をさせていただくご縁をいただき、
私もお世話になった思い出の店舗、自分の店だと思って取り組ませていただきました。

@ateliercomado/photo by fusephoto

ここでは、お店ができるまでのストーリーを簡単にご紹介します。

新しい移転先

新宿末廣亭の向かいに、石造り3階建ての建物がありました。
その建物の中は「ぼでごん亭」。
50年程前からこの地を歩く人たちの憩いの場、対話の場を作る洋風居酒屋でした。

そんなファンの多いお店が移転することに。
場所は、新宿3丁目の店舗から徒歩5分〜10分、新宿御苑にも近い新宿2丁目のテナント。
階数が1階のみになるので規模は単純に3分の1です。

@ateliercomado

スケルトンからの設計ではありますが、道路に面して細長く、そしてかなり年季の入ったテナントでした。壁や床はもちろん平らではなく、前の配管も残っていたり、使っていない配線があったり。

今までのふくよかな一戸建てとは全く条件の異なる建物の中に、前の店舗の面影を残しながら、より働く方たちが快適にお店で過ごせて、お客様をおもてなしできる空間にできるかが最大のポイントでした。

設計から着工まで

一般的に飲食店のバランスとしては客室と厨房が、客室7割・厨房3割(規模が大きくなると厨房の割合が小さくなります)がベスト。
約50㎡の店舗なので、15㎡までがベストではありましたが、それを守ると自然と奥に厨房、手前が客室になります。

しかしやはりぼでごん亭といえば、カウンター。どうしてもカウンターを再利用して、表舞台に持っていきたい!
(↓前店舗)

@ateliercomado

このカウンターのなんとも言えない表情、当初のオーナーが少しづつメンテナンスをしながら、たくさんのお客様のドリンクを乗せて、そしてメンテナンスのたびに変形していった無垢材のカウンター。
1階から3階まで、形は違えど同様のカウンターがありました。

ということで、カウンターを再利用してメイン空間に置き、バーカウンターと厨房を細長ーく繋げるプランにしました。

かつてのぼでごん亭の雰囲気を構成していたものたち。

当初のマスターが様々なところから見つけてきたアンティーク品、家具は一つ一つが違う一品モノ。
当然、小さな空間に全部お引越しとはいかないのですが、プランをする上でどれを持っていくか、どう飾るか、そもそも持っていけるのか、一つずつ採寸しながら丁寧にプランをしていきました。

着工から完成まで

長らくの見積もりを経て、ようやく着工の日。
鍵を業者が手にして、夜中からのスタートです。

テナントなので、解体は日中の通常店舗営業中は不向きなのです。
翌朝来てみると、不要だった間仕切り壁や設備、配管がなくなっている!ちょっと広くなった!(当然ですが)

その後は、どんどん店舗工事が進みます。
休みなく朝から夜まで怒涛のように工事が進みます。
墨を出して下地や設備を入れ、仕上げして、家具入れて小物を飾り付け。
文字で書くとたった一行ですが、工事そのものだけでなく、その時間の中での外部対応や申請関係等、細かな部分まで濃厚な時間を過ごしました。

技術力のある工事やさんに恵まれ、細かく意思疎通ができ、また、今回の肝であった通常であれば取り合ってくれないケースもある「前の店舗のものを一部解体し、持ち込んで再度施工する」という丁寧さが必要な作業をしてもらえたことに感謝。

解体時に壊れてしまったり、古いものなので、保管状態によっては急激に劣化したり、狂いがありすぎて施工できない、など古いものの転用は悩ましい存在。
なんとか設置できても営業時間内に破損して、お客様に迷惑がかかることも想定しながら慎重に進めなくてはなりません。
一つ一つ、そのリスクはないか、可能かどうか確認しながら進めていきました。
その新しく作るよりもある意味慎重さが必要なこの作業が、私としても新しい発見をする機会にもなりました。

また、コストを下げるために照明器具などは支給品にしたので、オーナーさんも器具選びや搬入等、スケジュールに乗ってしっかりやり遂げてくださいました。

内装デザインについて

今回のお店づくりで大事にしていたことは、3つ。

1)これまでのぼでごん亭の思い出を残すこと。

2)ぼでごん亭の魅力でもある、個性豊かな働く人たちの顔や姿を感じられるお店。

3)どこかの欧米の町並みの路地のような、店名から彷彿させる「酒蔵」のようなイメージのインテリアにすること。

そのコンセプトが生きた箇所としては、例えば…入り口のカウンター。
店を外からのぞいても、入っても、どーんとバーカウンターが場所を占めています。

新しい店舗であるにも関わらず年季の入ったカウンターがあることで、空間に重厚感が生まれ、さらにこれまでのお店をご存知の方は三丁目の思い出が蘇ってくる、そんな場所に。

このカウンターはどの階から持ってきたかなど、歴史あるカウンターの楽しいエピソードは店舗でマスターに聞くのがベストですね!
新しく塗装し直して、補修もしてカウンターもリスタートです。

また、カウンターから厨房が奥まで繋がっているので、どこからともなく、いつものぼでごん亭の雰囲気が伝わってくるのも魅力の一つになりました。

そしてこちらの看板。


前の店舗は外壁に設置していた、大人3人でやっと持ち上げられるほどの重さの鉄の看板。
様々な事情で屋外には設置できないため、どこかに使えないかな…と考え、バーカウンター前のスペースに吊ることにしました。

入口ドアのガラスから中を覗くと見えるようになっています。

はじめの計画通り屋外にそのまま設置すると、サインとしての効果があったかもしれませんが、外装は今までの趣のある建物とは違うので、デザイン的には違和感が生まれた可能性もあります。
内部のしっくい壁で落ち着いた溜まりのスペースに取り付けた方が、結果的にはお客様に注目してもらえました。リメイクした家具も懐かしい雰囲気を助長していて、アイキャッチになっています。
室内に看板があると、どこかの路地のようでもありますよね。
そして、看板の先の細長い洞窟のような路地を進むと、、、というアプローチになっています。

新たな場所で

ほんの少しの距離ですが、夜の飲食店がひしめく新宿3丁目界隈と、新宿御苑がほど近い2丁目とは雰囲気が全然違います。

昔からのお客様、そして新たなお客様と、新たな場所でリスタートされた「ぼでごん亭」。

変わらない魅力でこれからも皆の語らいの場を作っていって下さると期待しています。


ぼでごん亭さまバージョンのatelier comadoのカードを作りました。
少し置かせていただくので実店舗にお越しの際に、ちらりと見て下さったら、嬉しいです。

@ateliercomado



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